レジリエント食事・生活療法研究①‐理念について
私は美容整心精神医学を提唱し、その治療法として1)マインドフルネスレジリエンス療法と2)レジリエント食事・生活療法を行っている。
レジリエント食事・生活療法については、ホームページ上で各論を記載しているが、何故それが良いのかという説明が十分ではないように思う。
そこで最初になぜこのようなライフスタイルを提唱するに至ったかについて述べようと思う。
理念の基盤には私の自律統合性機能主義Autonomous Integrity Functionalism:AIF という考えがある。
私は、宇宙の時間・空間・物質など森羅万象には、それらに統合性を与えている機能が存在すると考えている。それは創造主、偉大なる超越者、あるいは神といっても良いが、私はそれを存在としてより「機能」として位置づけたのである。
人間の存在は、心も肉体も社会的生活もすべて宇宙の営みの一部であり、それらは自律統合性機能にゆだねられバランスがとられていると考えているから、こころの健康は身体の健康と一体であると捉えることになる。つまり心身一如とした東洋医学の考えに極めて近いものと言える。
東洋医学では、人間は本来的に健康で生きられるように出来ている。その本来の機能(自然治癒力)を上手く引き出せば、未病の段階で病気になることを防ぐことができ、医療とはそれを行うものであるとしているが、私の整心精神医学も精神医療を未病段階で行おうとするものである。
人間の心身は、こころ―免疫系―代謝系―神経系の4つの系が正四面体構造の関係となって互いが複雑系で影響しあってバランスを取って健康を保持している。
バランスを失うと病気になるが、そのバランスが怪しくなった未病の段階で手当てをしようとするのが整心精神医学の理念である。
こころが身体に影響を与え、身体がこころに影響を与えることは、現代では西洋医学でも広く認められることであるが、その科学的な説明は近年まで難しかった。
最近の脳科学の進歩は、こころの有り様が脳内のホルモン〈神経伝達物質〉に反映し、それを介して身体に生理的変化をもたらすこと、また生命機能、種の保存機能、本能的な行動、情動や高次脳機能などの脳の局在性やネットワークシステムが明らかになり、心身相関の説明が出来るようになってきた。
ポジティブな思考は脳内麻薬と言われる快楽ホルモン(エンケファリン、エンドルフィン、ドーパミンなど〉を分泌し、エーテン(A10)神経を介して脳幹・中脳から大脳辺縁系、大脳新皮質・前頭連合野までを連結し刺激するが、前頭連合野が上位脳となりコントロールすることが分かっている。間脳・大脳辺縁系の本能行動に伴う快感ばかりでなく前頭連合野の高次な欲求にもエンドルフィンが出ることで人はやる気、忍耐力、創造力と高みに登って行けるのである。身体的にもエンドルフィンでNK細胞が活性化し免疫力が上がり病気に罹りにくくなる。ネガティブな思考は快楽ホルモンを出さず、ノルアドレナリン、アドレナリンを分泌しストレス反応回路に入り、活性酸素を増やし老化を招き病気に罹り易くなる。
つまり人は「考え方ひとつ」で心身の好循環にも悪循環にも行くのである。
マズローの人間の欲求5段階説(①生理的欲求②安全の欲求③所属と愛の欲求④承認の欲求⑤自己実現の欲求)は広く知られているが、③④⑤と高次な欲求になっても前頭連合野でエンドルフィンが出て快感を伴うから人は高みを目指せるのである。努力が苦痛だけでは低次元の食欲、性欲レベルで終わってしまい、人も犬猫あるいはそれ以下の爬虫類レベルで終わってしまう怖れがある。
自律統合性機能の巧妙なところは、低次の欲求にはフィードバックが働く(例えば満腹になれば食欲は納まる)が、前頭連合野の欲求には抑制のフィードバックがかからないところである。高みを目指す自己実現に終わりはないのである。
ところで、こころの有り様で脳内ホルモンが選択され身体に作用することは分かったが、何故こころという非物質的な現象が物質(たんぱく質・アミノ酸)から成るホルモンに作用するかは全く解明できておらず、おそらく仮説すらないのではないかと思われるが、「心とは何か」が全くつかめていない現段階では無理からぬことである。
私は心も波動であるとする立場から、そこには霊性と言われるもの(霊性波)が介在しているのではないかという仮説を立てていろいろ検証している。
こころと身体を結ぶもう一つの現象は波動のリズム共振が考えられる。
人の体は1/fゆらぎを持っているとされる。
ゆらぎとは、整然と並んでいるものが少しずれている様をいい、変化の動きが平均的で一定の周期の様に見えるが、正確にはわずかにずれていて、その動きは完全には予測できないズレであるものをいう。
1/fゆらぎとは規則正しくはないが、ある法則性を持ち自然界に普遍的に見られるゆらぎの現象で、あらゆる自然現象の変化の源になる法則をいう。
宇宙がビッグバンで誕生した時に生じた種々のリズムは1/f0から1/fnが存在していたが、現在は寿命の長かった1/fゆらぎだけが残ったとされる。1/fゆらぎは宇宙線、結晶の格子振動、心拍の間隔、目の動きなど自然、生物・生体の森羅万象から小川のせせらぎ、木漏れ日の揺らぎ、星のまたたき,蛍の光など心地よいとされる自然現象で見られる。
リラックスした時、集中した時、ポジティブに物事を考えた時は、脳波はα波になり、心に安らぎを与える1/fゆらぎが観測されることから、その場合は、生体の持つ1/fゆらぎの生体リズムに共振し、細胞活性を高め生命の躍動力をもたらすのではないかとの推論も成り立つ。
つまりポジティブな考え方は、波動を通じて身体に伝わるのである。
さて、心身一体の説明はついたが、こころのレジリエンスを高めるための身体的なアプローチはどうなるであろうか。心を強くするには、つまるところ残り3つの系、の免疫系、代謝系、自律神経系を強化しそのバランスのもとで恒常性ホメオスターシスを高めることになる。それがレジリエント食事・生活療法であり、そのためのラフスタイルとは、ストレスのない、活性酸素をなるべく発生させず、かつ消去して行くような食事・生活スタイルが目標になり、それには快楽ホルモンを増やし脳の健康を第一に守ることが鍵となる。
具体的には食事と運動、瞑想を中心においた規則正しい生活が3本の柱になる。
食事は脳ホルモンをつくるアミノ酸を供給する高タンパクで、血管の目詰まりを防ぐ低脂肪、低カロリーで、また必然的に生じてしまう活性酸素を消去するSODの多い抗酸化性の高い食事が望ましいことになる。
運動は筋肉を作り減退させないためのもので、筋肉は第二の心臓と言われるように静脈のリターンを良くして血流循環を良くし、脂肪を筋肉に取り込み燃焼させることを目標に行う。
瞑想はネガティブな考え方をポジティブ持って行き脳波をα波にし1/fゆらぎを作るための手段である。
それらの詳細は次回に述べる。