パーソナリティ障害について―AIFモデル理論で治す
最近13歳の少年が、17.8歳の少年たちに、首を切られて殺されたというニュースがあり、社会に衝撃が走った。少し前には19歳の名古屋大学の女子大生が、知人の老女をメッタ刺しにして殺した後に正月帰省し、帰宅後一晩死体のそばで寝たというようなニュースもあった。さらに前には佐世保で女子高生が、友人を自宅マンションで殺し切断した。
殺しというものをしてみたかった、告げ口をされたからブチ切れた、とかいずれも普通の感覚では理由なき殺人に近いものである。殺人に正当な理由があるわけではないが、殺意を持つにはそれなりの了解できる範囲の理由があるものが普通である。
彼等が、明らかな精神病者でなければ、昔は精神病質者として扱われ、これはもう変えようがない気質であり、救いようのない者として扱われていたが、1980年に出されたアメリカの精神医学会の診断基準DSMⅢで、「考え方と行動の偏りという人格の病気―パーソナリティ障害」として一つの病気になった。病気であるからには、後天的に何か原因があって、病的な状態になったという訳である。
これは、彼らを正常の範囲内においておくと、自分達を守る常識という世界の枠が壊れてしまうから、異常の範囲に入れ、自分達の常識世界を守ろうとする社会の要請に応えたかのようにも見えるのである。
「あいつの女癖の悪さは、もう病気、病気だよ。」って言いませんか。
そうこうするうちに、医学界から病名が付いてくる。「セックス依存症」という病人になるのである。
このような取り込みを医学化というらしいが、精神医学ではこれは珍しいことではない。「ギャンブル依存症」、「ネット依存症」、「ゲーム依存症」と社会の常識からズレだせば病気に昇格するのである。間もなく「スマホ依存」も「ストーカー(追跡)依存』も出てくるものと思うのである。
精神障害は基本的に自己申告であるから、最近流行の「適応障害」、「新型うつ病」に至っては、何処までが病気で、何処からが単なる我儘かサボリヤかは正直言えば正確には区別がつかないだろうと思う。
パーソナリティ障害もその隣には少し程度の軽い、「特定の不適応的パーソナリティ特性」という領域があり、それと「個性、正常」とは連続しているという。
精神疾患は、基本的に各疾患の明確な線引きはつかないので、ある範囲は一つにひっくるめて00スペクトラム障害、(例えば統合失調症とその周辺の疾患は統合失調症スペクトラム障害とするように)とするのが最近の傾向である。
これは、私が従来から言っている「心は波動である」という主張からすれば、至極当然な成り行きであり、精神病理学も新しい視点で研究して欲しいものである。
さて、ここではパーソナリティ障害の常識的な知識について話しておこうと思う。
パ―ソナリティ障害とは、「考え方や行動のパターンが著しく偏り、本人や周囲の生活を苦しめるようなもの」をいいます。
アメリカ精神医学会の診断基準DSMⅣでは、大きく3つのグループに分けられ、10のタイプに分類されています。
代表的なものを挙げると、
「境界性パーソナリティ障害」、俗にボーダーラインというもので、医学的には妄想分裂ポジションという、すべてをall or noneで判断する自我レベルにとどまっており、統合失調症と神経症の境界に当るとされることからこのように呼ばれています。特徴は「両極端に揺れ動く」ことであり、俗に切れやすい人です。根底には強い愛情飢餓と依存対象からの見捨てられ不安があり、また自己肯定感が持てず、自傷行為や自殺企図が多く見られます。
「自己愛性パーソナリティ障害」は、自分を大事にする気持ちが異常に強い人で、自分は特別な存在だと思い、褒められたり、特別扱いされるのが当然のように思う人です。自慢話が好きで、賞賛してくれる取り巻きを求めます。
境界性パーソナリティ障害が自己否定の泥沼でのたうちまわっているのに反し、自己愛性パーソナリティ障害は自信に溢れ誇大な成功を夢見ており、ちょうど正反対のように見えますが、実は根っ子は同じというのが、最近の精神医学の見解です。自己否定による落ち込みを避けるために、誇大な自信を振りかざして、自分を守っているという訳です。
すべてのパーソナリティ障害には全般的に共通する特徴があり、それこそがこの障害を知るうえで重要なことです。
① 自分への強い執着性、②傷つきやすさ(脆弱性)、③両極端な思考、④人を本当に愛することの困難さなどが等しくみられ、結局はパーソナリティ障害は基本的に自己愛の障害(幼い自己愛に支配されているという自己愛の障害)であるとの指摘がされるようになってきています。
コフートによれば、成長段階において、子供の未分化な自己愛は母親の愛情や関心、世話によって十分に満たされつつ、段階的に母親の庇護と支配から分離されていくことによって、より高度な形態に発展する。さらに、理想化された親を、自我理想として取り込み、それを土台として対象愛へと発展させる。ところが、母親の愛情や関心が余りにも早く失われたり、逆に母親からの切り離しが行われず、高度な形態への発展を妨げられると自己愛の傷つきが起きる。
これはメラニークラインの部分対象関係から全体対象関係への移行の失敗と同列で、妄想分裂ポジションに留まることになり、カーンバーグのいう境界性人格構造を形成する母胎になると思われます。
精神科医の岡田尊司はあらゆるパーソナリティ障害は、自己愛の障害という、基本的に同じ構造を持つと言っています。
つまりは、パーソナリティ障害の人達は、生まれて早々期に母親から母親と一体化するような没頭愛を受けられなかったことが最大の要因で、「根本的な安心感の不足」「満たされない承認欲求」を補うために独特の偏った行動様式を発達させ、生きることから落伍しないように戦っていると説明するのである。
岡田は、パーソナリティ障害について愛情をこめて次のように述べている。
多様なパーソナリティ障害のタイプは、傷つきやすい自己愛のさまざまの防衛の形態として理解でき、パーソナリティ障害の人は、傷つきやすい自己愛に由来する生きずらさの中で暮らしている。それは本人や周囲の生活に困難をもたらす。
人は本来どんな環境、状況にあろうと死ぬ瞬間まで生き抜くようにつくられているのである。生きようとする命の力と、抱えている生きずらさは、せめぎ合いながら、その人特有の適応パターンを織り成している。パーソナリティ障害とは生きずらさを補うための適応戦略だともいえるのである。
離陸した早々に,片羽根が傷ついたからといって、人間は飛ぶのをやめるわけにはいかない。傷ついた片羽根を抱えながら、飛び続けるための必至の努力と対処の結果生み出されたものが、少し変わった飛び方であり、パーソナリティ障害の人の認知と行動のスタイルなのである。こうして誤った生存戦略は、まだ幼かった頃満たされなかった欲求を紛らわすために不適切に身に着けてしまったものである、と。
私は、人間の健康は、人体における「神経系」「内分泌系」「免疫系」に『こころ』を加えた4者が相互に作用し複雑系システムを構成し、「身体波」、「精神波」、「霊性波」が自律統合性機能AIFによって共振し、バランスよくリズム振動することで成り立っているとすると考え、AIFモデルを提唱しています。それが、このホームページの基本理念にもなっています。
このモデル理論で見ると、パーソナリティ障害は4つの波動の共振が得られていない状態であり、主に霊性波の失調が強くバランスを失っていると捉えています。失調したリズム振動を回復させるには、AIFの主導性を強化する必要がありますが、それには身体波、精神波の波動エネルギーを高め、それに霊性波を巻き込むように共振させ、AIFのリズム振動を回復させるのが良いと考えます。そのためにはもっとも影響力のある「免疫系」を強化するのが有効だと考えています。身体系に免疫力が付けば、心も強くなり、それはまた身体系を強くし、しいては霊性の場のエネルギーも高くなりAIFの軸も回復します。
この様な視点でとらえれば、パーソナリティ障害の人の治療も可能だと私は考えています。私の美容整心クリニックでは、免疫力の強くなる生活療法、精神療法、食事療法などに有効なサプリメントも組み合わせ、他では体験できない治療の場を提供しますので、心が現認で生活につまずいて、上手く生きられない方は、どうぞご相談にいらして下さい。